大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)2051 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中一二〇日を本刑に算入する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人宗宮信次の上告趣意第一点について。

被告人が原審裁判所に提出した控訴趣意書において、第一審判決の刑は過重で

ある。被告人は反省悔悟しており且つ家庭貧困なので減刑賜りたい旨主張している

こと所論のとおりである。原判決文は、その文言をそのままくりかえして記載して

はいないが、その趣旨を「……被告人Aの控訴趣意は、原判決の量刑は不当である

……というのである」と要約した上で、「記録を調べ諸般の情状を考量しても、原

判決の量刑を重きに失するものと認めるべき事由がない」と判示しているのである

から、原判決は被告人が控訴趣意書の中で主張した事情についても参酌してこれに

判断を下したものであることが窺われるのであつて、弁護人提出の控訴趣意書と被

告人提出の控訴趣意書とある場合に、後者については判断しなくとも違法ではない

と判示したものではないから、論旨援用の判例と少しも相反するところはない。そ

れ故所論は刑訴四〇五条の定める上告理由にあたらない。

同第二点について。

憲法第三七条一項のいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは、構成その他において

偏頗の惧れなき裁判所の裁判という意味であること、当裁判所の判例(昭和二二年

(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決)の示すとおりであるから、所論の

ような具体的の訴訟手続の問題は、右の憲法の規定にかかわりなきことである。論

旨は明らかに理由がない。

よつて刑訴四〇八条、一八一条、刑法二一条に従い主文のとおり判決する。

- 1 -

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二六年二月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!